Siriのナビとローマ字

所要で地元の市役所まで行く用事がありました。私の自宅からは車で30分以上かかるところで、結構、行きづらいところにあるので、ふと、iPhoneの「マップ」をナビ代わりに使ってみようと思い立ちました。

私はSiriを英語モード(イギリス英語・男性)で使用しているのですが、その状態でマップをナビ代わりにすると音声情報も英語で提供されるんですね。Siriの設定と同じ音声で話されるようです。

実際に使ってみると、普通のナビと同じように音声でも案内してくれるので分かりやすかったです。無事に市役所に到着できました。ただ、一つ問題がありまして、地名が非常に聞き取りにくいのです。おそらく日本の地名はローマ字で登録されているのだと思うのですが、それを読み上げるとき、英単語の読み上げルールに従った読み方になっているんですね。

一番聞きづらいと思ったのは、makeやRomeみたいに、語尾の”e”を「エ」と発音せずに全く読んでくれないということでしょうか。たとえば、「~西詰」”nishizume”の最後のeを読み上げないために、”nishizum”「ニシズム」に聞こえます。しかも、直後にontoなど母音で始まる語が来ると音がつながって、”nishizumonto”「ニシズモントゥ」に聞こえるんです。いや、まさか、日本語の地名で語末のeを発音しないとは思ってなかったので、初めて聞いたときには、何を言われたのか瞬時に判断できませんでした。「西詰」の標識を見たときにようやく「ああ、そういうことか!」と。最初から道が分かってなかったら焦ってたところです。

あとは、発音するはずのhが落とされて、Karahashi「唐橋」が「カラーシ」に聞こえるとか、Kannonji「観音寺」が「カナンジ」に聞こえるとか、Ishiyama「石山」が「アイシヤマ」とか、結構、知らない地名だと判断しにくいものがありました。Kannonjiはせっかくnを二つ重ねても、やっぱり英語読みでは「カナンジ」になってしまうんでしょうね。あと、”i”は、shipとiceの”i”みたいに「イ」と「アイ」の2つの読み方があるので、間違えられることもあると。

これとはちょっと違いますが、「けんいち」さんをKenichiと書くと、日本人の名前に詳しくないネイティブにはたいてい「ケニチ」と発音されます。「ん」の処理は日本語独特なので、ローマ字で書いたからと言って、日本語通りに読んでもらえるとは限らないですね。あと、aiueoの母音も、それぞれ英語では複数の読み方があるので、saと書いたからといって、「サ」と読んでもらえず、「セイ」と読まれるかもしれませんし、「小野」さんがOnoと書いても「オーノ」と呼ばれて「大野」さんと区別がつかなくなるとか、日本人からすると「アルファベットにしたんだから読めるだろう」とつい思い込んじゃうわけですが、実は、なかなか難しいこともあるんですね。

ちなみに、私も学生時代にイギリス留学したときにホームステイ先ではなぜかTatsuya「タツヤ」ではなく「タツイー」と呼ばれていました。何回かそれとなく訂正したのですが、結局治らなかったです。

あのときは、ローマ字は世界に通じる読み方とか勝手に思い込んでいたので、なんでそんな発音になるのかと不思議でしたが、やっぱり、ローマ字は日本の読み方に沿った表記なので、思ってもみない読まれ方をすることがあるようです。

ふと思ったのですが、フランス語だと語頭のhは読まず、たとえば、hotelを「オテル」と読んだりしますので、Siriをフランス語に設定すると、「播磨」を「アリマ」と読んだりするんでしょうか。「播磨町」も「有馬町」も両方とも兵庫にあるので、現地走行中にナビでいきなり言われたらぜったい混乱しますね……。特に、ナビとして使う場合は、運転しながらですから、一瞬で判断するのは難しいかもしれません。

というわけで、本当に知らない場所に行くときは、Siriを日本語に戻そうと決めたのでした(笑)。