昔TOEICではPart 6で間違い探しが出題されていました。
2006年に現行の長文穴埋めに変わったので、もう20年近くも昔のお話ですね。
お若い方はご存じないかもしれません。
形式としては、単文に4箇所下線が引かれ、そのうち文法的・意味的におかしいものを選ぶというものです。
この間違い探しのPart 6、当時も苦手な人が多かったですが、私自身はとても実用的で良い形式だと思っています。英文を正確に書くためには、最初から正しい英文を書こうとすることに加えて、自分で書いた英文を読み返し、誤りに気づく力も重要だからです。日本語でも、書いたときには気が付かないミスを、読み返して気がつくことはありますよね。
間違い探し問題が苦手な場合、自分が英文を書いたときに同じミスをしていても気づかない可能性が高くなります。英文でメールなどを書いた後に見直すのと同じことをするわけですし、また、この問題では中学校レベルの基本的な文法ミスが多く問われていました。その意味では、この形式は実用的な問題だと思っています。
なので、間違い探しがTOEICからなくなったのは残念なんですよね。TOEFL ITPではこの形式がまだ残っているので、問題としては有用なのだと思います。
私のレッスンでは実用的な英語力習得とスコアアップのために毎回英作文を提出してもらっているのですが、その際にも、この「自分で誤りに気づく力」の重要性を強く感じます。やっぱり、きれいな英文を書けるようになりたいと考える人は多いですし、スコアアップの観点からも、英作文でミスをしない人は文法問題でもミスは少ない傾向があります。
逆に、自分の英作文を何度も読み直してもミスに気づけない人は、本番で1問30秒足らずで問題を解いているときに、どうしても間違える確率が上がります。TOEICは比較的平易な文法を「速く・正確に」運用できるかを測る試験なので、時間に追われてもミスをしないことは大切ですね。
ちなみに、まだ間違い探しが出題されていた時代、私のレッスン、主に上級クラスでは、
選択肢なし:選択肢はヒントになってしまうため、自分の力だけで誤りを見つける。
文を読み終えるまでに誤りを特定する:たとえば2語目が誤りだと気づいた時点で解答し、文末まで読まない。
という縛りで宿題を出していました。一語一句をすごく考えながら読むことになるので、読解力の向上にも繋がるトレーニングです。
というわけで、昔を懐かしみ、間違い探し問題を10問作成してみました。
ぜひ解いてみてください。上級レベルの方は、文末までに間違いに気がつかないと失格というルールでやってみるといい練習になると思います。
Q1:
The marketing team
has been working(A)
on the new campaign for three months, and they
currently expects(B)
to launch it
by(C)
the end
of(D)
next quarter.
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Answer: (B) expects → expect
主語がtheyなので、三人称単数のsは不要です。
Q2:
Ms. Chen asked her assistant to make
copies(A)
of the report and
distributing(B)
them to all
participants(C)
before the meeting
begins(D).
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Answer: (B) distributing → distribute
make copies and distributeと並列なので、原形にする必要があります。
Q3:
Despite(A)
the company’s sales were increasing significantly last year,
management(B)
decided to
postpone(C)
the expansion plans
due to(D)
economic uncertainty.
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Answer: (A) Despite → Although / Even though
despiteは前置詞ですから、後ろには名詞のかたまり(名詞句)が必要です。節(主語+動詞を含むかたまり)は続けられませんのでalthoughなど接続詞を使う必要があります。
Q4:
The conference will be
held(A)
at the Grand Hotel,
that(B)
is located
in(C)
the heart of the
business(D)
district.
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Answer: (B) that → which
コンマを伴う場合、関係代名詞 that は使えず、which を用いる必要があります。
関係代名詞には、大きく分けて次の2種類があります。
- 名詞を特定するために不可欠な「制限用法(コンマなし)」
- 補足情報を付け加える「非制限用法(コンマあり)」
まず、制限用法(コンマなし)は、名詞を他と区別するために必要な情報を加える場合に使われます。「~する方の」という意味合いを持ち、どれを指しているのかを特定する働きがあります。
例:
the pen which/that I borrowed from him
「(数あるペンの中の)彼に借りたそのペン」
この場合、どのペンかを特定するために which 以下が必要であるため、コンマは使いません。
一方、非制限用法(コンマあり)は、名詞を特定するためではなく、すでに特定されている名詞に対して補足的な情報を加えるために使われます。「ついでに言っておくと」みたいなニュアンスです。
例:
my father, who lives in Paris
「私の父は、パリに住んでおり……」
もしコンマ無しで my father who lives in Paris とすると、「パリに住んでいる方の私の父」という意味になり、父親が複数いるような不自然な解釈が生じてしまいます。そのため、このような場合はコンマを付ける必要があります。
なお、このコンマを伴う非制限用法では、関係代名詞 that は使用できないという点が、今回の設問のポイントです。
Q5:
All employees regardless of their position
is required(A)
to
attend(B)
the mandatory safety training session
scheduled(C)
for
next(D)
Monday.
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Answer: (A) is required → are required
主語がAll employees(複数形)なので、動詞もareにする必要があります。regardless of Aは「Aにかかわらず」の意味です。これが途中で入っているので惑わされないようにしましょう。
Q6:
Mr. Johnson has been
working(A)
for this company
since(B)
more than fifteen years and is
considered(C)
one of our most
valuable(D)
employees.
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Answer: (B) since → for
期間を表す「more than fifteen years」にはforを使います。sinceは特定の時点(since 2010など)に使います。
Q7:
Not until(A)
the audit
was completed(B)
did the company realize
how(C)
serious the issue was and
took(D)
immediate action.
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Answer: (D) took → take
否定を表す副詞句・節が文頭に来ると、後ろは倒置が起こり、疑問文の順番になります。ここではdid the company realizeが、疑問文と同じ形になっていますね。疑問文と同じ形なので、didが使われrealizeが原形になっていることに注意してください。問題はtookですね。この文ではrealizeとtakeがandで並列になっているはずなので、takeも原形にそろえる必要があります。
Q8:
After several attempts yesterday, the technician
could(A)
repair(B)
the malfunctioning equipment
before(C)
the scheduled
inspection(D).
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Answer: (A) could → was able to / managed to
特定の過去の場面で、実際に何かを成し遂げたことを表す場合、could よりも was able to や managed to 、あるいは単なる過去形を使うのが一般的です。 could は過去の一般的・習慣的な能力を表すことが多く、この文のように「努力の結果、実際に成功した」ことが強調されている場合には不自然になります。
Q9:
The supervisor
recommends(A)
that the monthly expense reports
be submitted(B)
to the accounting department
by(C)
the fifth day of
each months(D).
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Answer: (D) months → month
eachの後には単数形の名詞が来ます。「each month」が正しい形です。recommendはthat節を取ると、節内の述語動詞は原形かshould+原形の形をとるので、be submittedは正しいです
Q10:
Unless the weather is
not(A)
inclement, we
will hold(B)
the company picnic
at(C)
the
lake(D).
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Answer: (A) not → (削除)
Unlessはすでに否定の意味を含んでいるので、notは不要です。「Unless the weather is inclement」が正しい形です。notが入ると二重否定になってしまいますね。
いかがでしたか。普通に英文を読む場合よりも、さまざまなことを考えながら読んだのではないでしょうか。
ただ、本来は「間違い探し」でなくても、英文はそうやって読むべきなのです。文法に注意を払わなければ、そこに込められた意味に気づかないまま読み進めてしまい、結果として、その文法が本来付け加えるはずのニュアンスや細かな意味を取り逃がすことになります。使われている文法にすべて気がつくことは、読解にも必要なのですね。
その意味で、否応なく深く考えさせられる間違い探しは、読み方そのものを鍛える、よい練習だと思っています。