英作文の間違い探し

私のレッスンでは、主に初級・中級の方には、拙著「TOEIC TEST文法完全攻略」を使った英作文を提出してもらっています。

一つの英文の中には、例えば「助動詞」や「関係詞」など練習中の項目だけでなく、冠詞や時制、複数形の-sや前置詞など、様々な文法が使われています。英文を書くときには、それらをすべて踏まえて書かなければなりません。そのため、同時にいろんな項目を考えることになって、かなり効率的な練習だと思っています。特に、誰かに添削してもらえる場合は、ぜひともやっていただきたい練習です。

英文を書くときに、特に注意すべきなのが、自分の知っていることを間違えないということです。

英語が上達すればするほど、「知らないから間違える」ことよりも「知っていても気がつかないから間違える」ことが増えます。

TOEICの文法問題でも、たとえば公式問題集を解いて、間違った問題の解説を読んだときに、解けるはずだった問題を間違えていることがよくありますね。

瞬時に判断できない項目は、本試験で1問25秒程度で文法問題を解いているときには、足を引っ張ります。また、長文で誤読に繋がることもあります。

そこで、英作文では「ケアレスミスを絶対しない」「知っていることは絶対に間違えない」を目標に、何度も見直してもらうのが宿題になっています。

とはいえ、特に慣れないうちは見直しても気が付かないことがよくあります。意識が向いていないからですね。

ちょっと実例を見てみましょう。

下記は、「TOEIC TEST 文法完全攻略」の和訳・英訳問題「訳してCheck!」です。
どこが間違っているかわかりますか? 「解答」をクリックすると答えが表示されます。

「農作物の値段は劇的に上がった」
The price of agricultural produce was drastically went up .

解答

wasが不要ですね。be動詞と一般動詞は混ぜないように注意。ちなみに、produceは「生産する」という動詞のほかに「農作物、生産物」という意味があり、不可算名詞なので、この語を修正する必要はありません。

「このアンティークの宝石箱は上品に見える」
This antique jewelry box look elegant.

解答

lookをlooksに。This antique jewelry boxは三人称単数形ですので、動詞が現在形ならば三単現の-sが必要です。この文のように主語が長いと、見落とす確率が高くなります。

「牛乳を冷蔵庫に入れてください。さもなければ、すぐに腐ります」
Please put the milk in refrigerator. Otherwise, it will quickly go bad.

解答

refrigeratorにtheを付ける。refrigerator「冷蔵庫」は可算名詞ですから、無冠詞+単数形では使えません。ここでは、家にある冷蔵庫ということでtheがつきます。

「キャビネットの中の製品仕様書ファイルの1つがない」
One of the product specification file in the cabinet is missing.

解答

fileをfilesに。one of~「~のうちの一つ」は「~」が複数あって、そのうちの一つという意味のはずですから、「~」に入る名詞は複数形にする必要があります。


いかがでしたか?
今回は、「ケアレスミス」が必ずあるという前提で英文を読んだはずなので、見つけやすかったと思います。ただ、これが自分が書いた英文だと、途端に見つからなくなるんですよね。

ちなみに私のレッスンでは、上記のようなケアレスミスをやった場合は、文頭に◯印をつけて返却します。これはもちろん「正解です」という意味ではなく「再提出してください」という意味です(笑)。すでに知っていることなので、自分で見つけるというステップを踏まないと、いつまでも知っているだけで終わってしまいますから。

また、実際の添削では、この他にもご本人の能力に見合ったレベルで添削しています。たとえば、初心者の方でも、可算名詞単数形には冠詞が必要ということをご存知あれば、aが必要なところで付け忘れたら◯がつきます。ただし、間違ってtheをつけても◯はつけません。少なくとも可算名詞の単数形には冠詞を付ける必要があることまでは分かっていて、実際に冠詞をつけたからです。a/theの区別をご存じないのは「ケアレスミス」ではありませんので、レッスンで説明して学んでいただくことになります。あ、でも、説明を理解してもらえて知識として頭に入った後は、同じミスでも◯がつきます。

しかし、同じ英文でも、上級者でa/theの区別がつく方が付け間違えたら、その時点で◯がつきます。この方にとっては知っていたのに間違えたことになるからですね。

この「知っていることを間違えない」というのはTOEICでも重要で、興味深いことに、英作文で◯が付いて再提出が多いと点数が伸びません。今まで多数の受講生の方の添削をしてきましたが、◯がいっぱい付いた状態で、次のTOEICでスコアが順調に伸びた方を見た記憶がないくらいです。

なので、「知っていることを間違えない」のは、本当にスコアアップには重要なのです。