先日、Star Trek関連のポッドキャストを聞いていたら、衝撃的な事実を知りました。
といっても、ファンだけが分かる話なのですが。
シリーズに出てくる異星人「カーデシア人」、英語でCadassianの発音が、なんと女優の「キム・カーダシアン」とは違うというのです。
Cadassian「カーデシア人」の発音は、/kɑːrˈdæsiənz/ですが、「キム・カーダシアン」の場合、「シ」が/s/ではなく/ʃ/らしいです。
それを聞いて、wikipediaを見てみたら、
Kim Kardashian
と書いてました。スペルがshですね。そっかー。
Cadassianは何回か作中で聞いていたので、こちらは/s/だとは知っていたのですが、キム・カーダシアンの方は、あまり芸能界に興味がないもので、スペルもきちんと見たことなくて、音声で聞く機会もなく、たまにカタカナ表記で見かける程度だったので、同じ発音というか、スペルも同じようなものだとなんとなく思っていました。
日本語の「シ」はローマ字でshiと書くように/ʃi/に近いので、最初にカタカナ表記を見ていれば/ʃ/だとなんとなく思ってたと思うのですが、思い込みですね。
おそらく混同する人が多いせいか、ポッドキャストでもCadassianとKardashianの発音を/s/と/ʃ/を強調して、違うって比較してました。なるほどです。
それで思い出したのですが、/s/と/ʃ/は日本人があまり気にしていない音です。L/RとかB/Vは気をつけようと思っている方は多いのですが、s/shはそれと比べると見過ごされている印象ですね。
/si/は「すぃ」を短く発音する感じ
/ʃi/は、静かにしろという意味で「シー」と言うときの音に似ています。
先ほども書きましたが、日本語の「シ」は/ʃi/に近いので、日本人はsiもshiと発音してしまうことが多くあります。これが結構誤解を生む原因にもなります。
sip/ship
seat/sheet
のように、間違えると誤解される単語もあります。ですので、たとえば劇場などで「この席は空いてますか」のつもりで
Is this シート taken?
とseatを「シート」と日本語っぽく発音すると、sheetにしか聞こえないので「この紙切れ・シーツは取られていますか?」
と誤解されます。まあ、座席を指さしながら話していれば、状況から察してくれるとは思いますが。
あ、でも、”Reserved”とか紙っぽいものが貼ってあったり、電車などで背もたれ部分にシーツっぽいのがかぶせてある場合だと、それを取っていいのかどうかを聞かれているのかと混乱されて、こちらの真意が取り切れず”I beg your pardon?”などと聞き返されるかもしれませんね。
さらにまずいのはsitです。「ここに座ってもいいですか」のつもりで、
May I sit here?
と言おうとしたとき、sitを/ʃ/と発音すると、”shit”に聞こえてしまいます。下の話で恐縮ですが、この単語には動詞で「●ソする」の意味があります。したがって、発音し間違えると「ここでク●してもよろしいでしょうか」と聞こえますから、たぶん相手は硬直します(笑)。この場合も状況から察してくれるとは思いますが、聞こえているのは「それ」なので、相当に戸惑うことでしょう。
じつは、私も/s/と/ʃ/を間違っていた単語があります。
1つは、machineです。
これは、/məʃín/で、/ʃ/の発音ですから、むしろ日本語の「マシン」って言ってたほうがよかったのに、たしか留学中だったか、いろんな単語で/s/を/ʃ/と発音しないように気をつけていたら、本来/ʃ/とすべきmachineまで「マスィーン」と発音して、先生に指摘されました。日本語っぽく言っていいんだって、当時の私にとってはかなり意外でした。
もう一つは、negotiate「交渉する」です。
こちらは30年ちょっと前に英会話学校に勤めていた時のことです。他の日本人講師と話している時に、negotiateを「ニゴウスィエイト」と発音したら、「/s/じゃなくて/ʃ/よ」って指摘されて、こちらも衝撃的で「マジで?」ってなりました。確かに、/nigóuʃièit/ですね。
この2つは印象が特に強いせいか、今でも英語を話していてmachineとnegotiateを口に出す瞬間は「シ」の部分に意識が向きます。ちょっと強めに発音したりなんかして。
まあ、30年経っても気にしてるってことは、よっぽとショックだったのでしょう(笑)。