英語クロスワードのカギ

最近、またThe Japan Newsのクロスワードパズルを解きはじめました。毎日やって、しばらくしたらまた飽きてというのを繰り返しています。今ちょうどマイブームになっているところであります。

英語クロスワードで面白いと感じるのは、カギ自体が何の意味か特定できない場合があることです。

たいていの単語は複数の意味を持ちます。英和辞典を見れば1つの単語に複数の単語訳や定義が書いてますよね。また、それだけでなく、bear「クマ」とbear「我慢する、生む」のように、たまたまスペルが同じでまったく異なる同音異義語もたくさんあります。なので、たとえば

date

と書いてあっても、「日付」なのか「デート(する)」なのか、あるいは「ナツメヤシ」(笑)かは分からないので、両面から考える必要があるわけです。

先週の解いたある回では、いくつか「そっちか!!」と思ったカギがありましたので、紹介します。

■ Spotted (3)
→ □□W Wで終わる3文字の語

最初に思いついたのが「水玉模様の、斑点のある」という形容詞の意味だったのですが、そこから連想される単語はマスの数や他の答えと合わず。なら、spotの過去形か過去分詞かと思ったところで、思いつきました。spotには「気づく、見抜く、察知する」という意味があるので、seeの過去形のsawですね。このように動詞の場合は、活用にも注意する必要があります。

Marbles, so to speak (6)
→ S□□□TY Sで始まりTYで終わる6文字の語

so to speakは「いわば」の意味なので、「言わばmarblesみたいなもの」の意味です。
marbleは「大理石」の意味で知られていますね。ただ、通例不可算なので-sが付きません。最初に思いついたのが、通例複数形の「ビー玉遊び、おはじき」でしたが、すぐに行き詰まりました。しばらくうーんと唸っていると、「そういえば・・・」とmarblesを使ったイディオムを思い出しました。

lose one’s marbles「正気を失う、頭がおかしくなる」

つまり、marblesは「正気、精神の働き」なので、6文字の類義語はsanity「正気、平静」ですね。

Buffalo’s lake (4)
→ E□□E Eで始まりEで終わる4文字

直訳はバッファローの湖なのですが、この場合はスイギュウではなくて、New York州にある港市のことです。つまり、Buffalo市の湖ということで、アメリカ五大湖の1つエリー湖(Erie)ですね。この作者は時々カギにBuffaloを使うので、すでに見知ってました。毎日解いていると同じカギも結構見かけるんです。ただ、最初にこれを見たときは「スイギュウ」だと思いこんで、思いっきり引っかかりまして、結局答えを見ても納得できず、辞書まで見てようやく「そっちか!!!」と脱力してしまいました。

Washer unit (4)
→ □□□D Dで終わる4文字

カギの意味は最初「洗濯機の構成部品」と思ったので、drum「ドラム」とかpump「ポンプ」とかhose「ホース」を思いつき、さらにはlint trap「糸くずフィルター」のtrap「捕まえるもの」だけ抜き出すのかとも思いましたが、これも合わず。しばらく悩んでいたら、「もしかして、このunitは『構成部品、装置』ではなくて『単位』の意味か」と思い至りました。そうすると、washer unitは「洗濯機用の単位」となります。つまり、”load”「(洗濯機・食洗機の)1回分」ですね。

こんな感じで使います。

I had a lot of laundry piled up, so I had to do two loads.”
「私は洗濯物がたまっていたので、2回回さなければならなかった」

I did two loads of laundry.
私は2回分の洗濯をした。

でもOK。

ちなみに、

a truckload of medical supplies
トラック一台分の医療用品

のように、truck/bus/train/planeなどの輸送機関と複合語を作ることもできます。

→ ■Pop (3)
D□□ Dで始まる3文字

答えが、dから始まる3文字の短いものでしたけど自分では分からず、結局別のカギの答えに3文字とも埋めてもらいました。

最初に思いついたのは、ポップコーンのpop「飛び出る、ポンと出る」、あるいは、pop musicのpop「ポピュラー音楽、ポップス、大衆向けの」で、その線でずっと考えていたのですが、dから始まって3文字になるような類義語・関連語が全く思いつかず。

仕方がないので、別のカギを解いているうちに2文字目にaが入って、

da□

となっても分からず。とうとう最後の3文字目にdが入ることが分かって、一瞬「は?」となりましたが、すぐに頭に衝撃が走りました。カギの意味は

pop「(呼びかけて)父さん、おじさん」

でした。答えはdadですね。

いやあ、これはまったく思いつかなかったな~。まさに「そっちか!!!」です。popはこの意味ではちょっと廃れつつある語ですが、今でもたまに映画とかドラマで聞く表現です。昔、私が大好きだった”JAG”(邦題「犯罪捜査官ネイビーファイル」)というアメリカのドラマで主人公のHarmon Rabbがかなり年下の同僚パイロットにからかわれて”Pop!”と呼ばれるシーンがあって、今でもよく覚えているのですが、何の役にもたちませんでした・・・。ポップコーンのpopか、pop musicのpopと思い込んだ時点でダメでしたね。

と、こんな感じで、カギ自体が何通りもの意味を持ち得るうえに、そもそも作成者がわざと曖昧な感じにして気づきにくくしています。さっきのも、カギがpopじゃなくてfatherならすぐdadを思いついて面白くないですしね。カギの解釈だけでアハ体験ができるところが、英語クロスワードの面白いところだと思います。

日本語だと、そもそも同音異義語でも漢字が違いますし、漢字まで同じ語で異なる意味を持つことが少ないですね。国語辞典を見ても1つの見出し語に複数の定義があるものはきわめて少ないです。なので、カギの意味がこれほど曖昧になることは少ない気がします。

英語のアルファベットは日本語のひらがなとカタカナと同じ表音文字なので、日本語に例えるとカギをひらがなで書くのと同じ感じかもしれませんね。たとえば、「こうし」というカギがあったときに、

講師
行使
公私
光子
孔子
皇嗣

のどれかの意味だと思って悩んでいたら、実は「子牛」の意味で(・・・今「そっちか」と思いませんでしたか?(笑))、そこから得られる解答が「ヴィール(仔牛肉)」とかでしょうか。ひらがなの「こうし」から「ヴィール」を当てるのは相当に難度が高いですね。

なので、英語のクロスワードパズルを解くときには、同音異義語に注意すると解きやすくなるかもしれません。