E 派生語・類義語も重視し、使用例を示して見出し語とまとめて暗記できるようにした

この本をご覧のみなさんは、900点を突破したいという気持ちをお持ちだと思います。しかし、大半の方にとっては900点はあくまでも当面の目標、または通過点であって、最終的なゴールではないのではないでしょうか? 900点を取りたいから英語を勉強しているのではなく、「ネイティブ並の英語力を身につけたい」「ネイティブみたいなナチュラルな英語を使いたい」「通訳・翻訳家になりたい」などという目標があるから、自分の実力を調べるためにTOEICを受験するというスタンスでしょう。

私の学校にも900点を目指す生徒はたくさんいるのですが、そういった生徒には私は必ず、「900点を取ったあとのことを考えて勉強してください」と言っています。TOEICの900点は実はそれほど難しいものではありません。正しい勉強法で熱意をもって勉強すれば、誰でも取れるといって差しつかえないと思います。私は現在985点を取得していますが、それは才能があったからではありません。単に、みなさんより長く英語に触れているという非常に単純な理由によります。もちろん、留学したことがなくても大丈夫、900点はとれます。現実に、海外経験がないのに900+を取っている方は大勢いますからね。

しかし、問題はそのあとなのです。ちょっと考えてみてください。TOEICの900点というのは、一般の人々から見ればかなり強烈な点数です。そのため、会社にTOEICの点数を報告していたり、就職時に有利になるようにスコアをとる方は、英語にかかわる難度の高い仕事を押しつけられる可能性があります。例えば、契約書の翻訳や交渉における通訳などです。

仕事として英語を使うのとTOEICの英語とで根本的に違うのは、TOEICは「Non-nativeとしてどれぐらい英語を使えるか」を問われる試験であるのに対して、仕事上ではネイティブと対等な英語力を求められるということです。そして、TOEICの900点というのは、実体を知らない人にとっては「こいつの英語はパーフェクトだ」という幻想を抱かせるものなのです。 そんな状態で、ちょっとでも期待を裏切るような結果になれば、「900点も持っているくせに」という評価を受けてしまいます。難しいから自分には無理だと思っている仕事を押しつけられたあげくに、そんな厳しい評価を受けるのはいささか理不尽なのですが、しかし、それもTOEIC900点という点数のもつ重さによるといえるでしょう。

TOEICでは10%間違えても900点を取れて、「よくがんばった」と自分を褒めてあげられますが、英語力を買われて引き受けた仕事で10%も英語を間違えればかなり苦しい立場になってしまうかもしれません。さらに言えば、現実の仕事で問われるのはリスニング・リーディングよりも、TOEICでは測っていないスピーキング・ライティングなのです。

また、単に日常生活を送るという観点からみても、試験対策のみで英語を学習してきた受験者の900点では不安があります。例えば、TOEICでリスニングで450点を取っていても、映画やニュースについていけないという方はたくさんいらっしゃいますし、リーディングで450点取っていても、タイム誌がほとんど理解できないという方も大勢おられます。しかし、映画やニュースが理解できなかったり、英文雑誌が読めなかったら、「日常生活」が本当に十分できているとは言えないと思いませんか?

そういうわけで、900点を目指す学習者の方は、あまりに900点を目指した勉強に特化せず、本当の目標を見据えて、広い意味での高度な英語力を身につけるように心がけていただきたいと思っています。

TOEICは非常によくできた試験です。しかし、やはり4択の試験には違いなく、英語の測定能力には限度があります。極端なことを言えば、ネイティブスピーカーでも年齢が低かったり、普段から言葉に気をつけない人であれば900点付近の得点を取ることだってあるわけです。しかし、ちょっとミスって900点しかとれないネイティブスピーカーと大学受験英語の延長で勉強してきた日本人の900点とでは同じ点数でも英語力の質が根本的に違うのはおわかりいただけると思います。そして、実際の生活やビジネスで役に立つのがどちらの英語力かも・・・。

私自身の体験を言いますと、私が初めて900点を取得したとき、「こんな自分でも900点がとれるのか」と思えるぐらい、点数と比べて低い英語力でした。それほど「書けない・聞けない・話せない・単語も知らない」状態だったのです。まさに単なる知識とテクニックだけでとった点数であって、本当の英語力ではないといつも感じていました。もちろん、まぐれで取ったものだろうと、テクだけで稼いだ点数だろうと900点は900点ですから、履歴書の華にはなりましたが、それでも、映画を見たり、タイム誌などの英文雑誌を読んだりするたびに、自分の900点という点数が中身を伴っていないという事実を突きつけられた気がして、むなしい思いをしたものです。みなさんには、当時の私のような点数だけの900点ではなく、本当の900点を目指して今のうちから練習していただきたいと思います。

本書では900+を目標としながらも、900点取得後も視野に入れて、少しでも実用的で幅広い場面で役に立つよう単語を選定しました。確かに、TOEICという範疇でだけ考えた場合、めったに出てこない単語も収録しています。しかし、日本語訳を見てください。どの語も新聞やニュース程度の文章には出てくるとおもいませんか?また、単語には「めったに使われないけど、知っていて当然」というものが数多くあります。例えば、日本語でも「おむつ」は実際に子供がそばにいる環境でしか出てこないと思いますし、手術につかう「メス」も「茶こし」も「オタマジャクシ」も使用頻度から考えると非常に低いと言えます。しかし、これらの単語は使われないから知らなくてもいいというわけではありませんね。ぜひ、どん欲に吸収して「どんな話でもついていける」単語力を身につけてください。そして、本当の900点を目指してください。

F 著者の単語集を元にしている

もう一つの特長は「実際にTOEICのスコアを500点→900点に伸ばした著者の単語集を元にしている」ということです。私も最初はこの本をお読みのみなさんよりもはるかに英語力の低い学習者でした。そこから985点にまで来る間に自分で作っていた単語集をもとにしています。この単語集は私が英語の学習をしているときに出くわした単語を書き留めてきたものです。