★例文は単語が推測できるように作られている

例文は単なるおまけではなく、暗記スピードを決定的に変えてしまう力があります。例えば、dismantleという単語を暗記する場合を考えてみましょう。

@ 例文のない場合

dismantle ?
 ・・・ 単語を見た瞬間に思い出せなければそれで終わり

英語の横に日本語が書いてあるだけの単語集では、日本語訳を隠してしまうと何の手がかりもないので、dismantleの意味を完全に覚えていなければ引き出すことはできません。「食べる」「話す」「構成する」「回る」など動詞でありさえすれば何でも当てはまるわけですから、予想するのも不可能です。

A 単なる例文の場合

dismantle ?
 ・・・ 「うーん、覚えていないから例文を見てみよう」
 ↓
Before he went home, he dismantled the computer.
「彼は帰宅する前に、そのコンピュータを×××した」
 ・・・ 「例文見ても、全然わかんないや」

たんなるおまけとしてつけられた例文の場合を考えてみましょう、例えば上記の場合、文脈から判断して「話す」とか「食べる」は多分違うなという予想は立ちますが、「修理する」「使う」「壊す」「学ぶ」「盗む」などかなり多様な単語が入る可能性があります。

つまり、この例文はdismantleが直接目的語を取るという使い方は分かっても、単語の意味を引き出すように作っていないため、思い出す役には立たないのです。

B 例文から単語が推測できる場合

dismantle ?
 ・・・ 「うーん、覚えていないから例文を見てみよう」
 ↓
It took the staff nearly 6 hours to dismantle the stage and set after the out-door concert.
「その野外コンサートが終わったあと、スタッフがステージとセットを×××するのにほとんど6時間かかった」
 ・・・ 「うん、文脈から考えたら「解体する」だと思う。そういえば、そう覚えたな」

いかがでしょうか?文意をとっただけでdismantleが「解体する・分解する」という意味であることは容易に想像がつくと思います。

このような例文を使って暗記することは次の二つの効用があります。

★ 容易に単語の意味を引き出す練習ができる

先ほどの「野外コンサート」の例文では、前後の文脈から簡単に単語の意味を引き出せます。つまり、きちんと暗記していない段階の学習者にかける負担が非常に少ないと言えます。また、単語は頭に入れて覚えるのではなく、引き出す練習をして初めて身に付くのです。どんなことをしてもいいから、自分の力で「思い出す」という練習が必要なのです。

★ リーディングと連携した単語力がつく

単語学習で大切なのは、なにも丸暗記することだけではありません。もっとも大切なのは、「知らない、または覚えたけど忘れた単語の意味をその場でなんとかひねり出すことができるようになる」ことです。普段から単語を覚えて語彙を増やすことも必要ですが、どんなに練習しても知らない単語や忘れてしまった単語が読んでいる最中に出てきます。そのときに、「知らないからわかんない」「思い出せないから理解できない」では900点はおぼつきません。知らない単語が出てきても周りの文脈や文章の構造から予測してその場でひねり出す能力が必要なのです。本書では、単語がうろ覚えでも周りの文脈から意味が引き出せるように例文を作成しています。覚えていなくてもすぐに日本語訳を見るのではなく、文章をよく読み、その場で適切な訳をひねり出してください。それがリーディング力と連携した単語力につながるのです。